2018/08/10 投稿
ここ数年、毎年相談があるのがこれ。
昨年、これを読み書き困難のあるお子さんに宿題として出している学校があったので、法務省に抗議のメールを出したのです。その返事はこんなものでした。
(以下法務省からのメール全文)
9月13日付け(2017年)でいただきましたメールを拝見しました。全国中学生人権作文コンテストは,次代を担う中学生が人権尊重の大切さや基本的人権についての理解を深め,豊かな人権感覚を身につけることを目的として実施しているものです。当コンテストは,当コンテストの目的や趣旨にご賛同いただいた中学校等や生徒の方々に任意で参加していただいているものであり,全ての中学生に参加を強制しているものではありません。なお,法務省の人権擁護機関において,人権作文を夏休みの宿題の必須課題とするよう指示をしたり,全ての生徒に作文の提出を義務づけるよう指示をしたりすることはしておりませんので,申し添えます。今後とも,人権擁護行政に御理解を賜りますようお願いいたします。
法務省人権擁護局
(メール本文ここまで)
ということでした。ですので、宿題として必須課題にすることは「法務省からの指示ではない」ということです。私たちは文を書くこと自体に困難のあるお子さんに対して、人権作文に取り組ませることは、それ自体が人権侵害であるということを強く申し上げます。人権作文でお困りの保護者様、お子様。この課題は「やる必要がないもの」です。
参考までに、私たちからの抗議文は以下の通りです。
私どもは岐阜市で発達障害、知的障害のお子さんのための学習支援等を行っている団体で「一般社団法人あかつき心理・教育相談室」代表理事の林田宏一と申します。本日は中学生の人権作文について意見というか、強く抗議を申し上げたくメールを差し上げます。
この人権作文の取り組み自体は、非常に素晴らしいものですが、私どもが活動している岐阜県岐阜市では、人権作文を夏期休み課題として、提出が必須となっている中学校が増えています。
しかし、私どもの相談室で学習支援を受けているような生徒さんにとっては、文を書くこと自体に困難があり、無理に書かせるとなると、ほぼ宿題代行と同じようなことをしなければならないのが実情です。
今年は人権作文に関する相談が増えており、私どもも対応には非常に苦慮しております。本来であれば、このような作文の課題は希望者だけがやるものであり、配慮の必要なお子さんがやるべきものではありません。このようなお子さんにとっては、人権作文に取り組むことを強いられること自体が人権侵害であり、学ぶ自由を脅かされることだと考えます。人権のことを考える狙いがある活動が、人権侵害になってしまっている現状を私たちは見過ごすことができません。また私たちが支援すべきものでもありません。お子さんたちにとって教育的意味がないものだからです。
具体的な要望としては、提出自体が夏休みの必須課題にならないようにご配慮頂きたいということだけです。今後、私たちは子どもたちの学ぶ自由を守るために、各方面に抗議の声を上げていく所存です。